最近「ミニマリスト(minimalist)」って言葉をよく聞きますよね!

「ミニマリスト」は「ミニマリズム(minimalism)」をモットーに生活している人たちと言うことで、「ミニマリズム」を英語で調べてみました。

「 a style or technique (as in music, literature, or design) that is characterized by extreme spareness and simplicity」極端に何もない環境や質素なスタイルのこと。

ミニマリストは物を減らして質素にし、物を持たない暮らしをエンジョイしているのですね。

そして、ほとんどのミニマリストたちが「テレビを見ない」生活を好んでいます。

ミニマリストがテレビを見ない生活を好むのには理由があるのです。

テレビはこわいもの

実は私の家にもテレビがありません。

ミニマリストなんて言葉がまだ世の中に知られていなかった頃、テレビから流れるニュースを聞いていて、一喜一憂することに疲れてしまう自分がいました。

ニュースに限らずテレビからの情報は、自分が聞きたいこととそうでないものをコントロールできません。

テレビから流れる情報を全て鵜呑みにすることはできないのに、どれが真実で、どれがプロパガンダなのか、区別することも難しいです。

それに、食事中だけと思って観始めて、気づいたら食事後も長時間観てしまっていたなんてことが度々起き、なんて時間を無駄にしてしまったんだ、催眠術にでもかけられたようにテレビに夢中になってしまう自分に嫌気がさしていました。

観賞時間を短くする努力もしてみましたが、そうしているうちにテレビを観るために大切な時間を費やす事に違和感を感じ始めました。

この際、もうテレビは見ない!と手放すことに決めました。

テレビの音に依存する

最初のころはテレビの音のない部屋に慣れず、何かしら音がほしいなと思いましたが、よく耳を澄ませてみると音って意外とあのですよね!

外の人の声や足音、飛行機が通る音、雨の音、自分がパソコンを打つ音や冷蔵庫を開ける音、ガスをつける音、野菜を切る音。

徐々に、そういう自然の音に耳をすませることを楽しめるようになりました。

スピーカーから聴こえる音がなくなっただけで、生活がシンプルになったように感じました。

シンプルに生きるということは、目に見えないものにも意識を向けることでもあるんだなと感じます。

目に見えないものは音だけではありません。目や耳から入ってくる「情報」もその1つです。

テレビから毎日流れる情報の量は、私たちが想像できないほど膨大です。

テレビの情報に流される

自分の生活に本当に必要な情報とそうでないものを、感情に流されず区別することが当時の私にはできませんでした。

でもそれが怖いことだという意識はなく、つい衝動買いしちゃうな、なんで必要ないのに欲しくなっちゃうのかな、いかんいかん!と思う程度でした。

実はテレビが怖いと思うようになった理由の1つに、私の大好きなマジシャンのマジックが影響しています。

彼は心理学や催眠を取り入れたマジックが得意で、彼のマジックを観ていると人の心を操ることは、操り方を知っている人にとってはこんなにも簡単なのかと思わせられます。

ある日彼は、大手企業で活躍している広告クリエーター2人と外で待ち合わせをして、車で会議室に向かいます。

会議室で彼はクリエーター2人にとある商品を見せて、この商品の広告を制限時間以内に作ってほしいと伝えます。

制限時間後、彼はそのクリエーターが作ったであろう広告のデザインを予想して当てるというマジックを見せます。

本当に驚きましたが、彼の描いたデザイン画とクリエーターたちが書いたデザイン画、そっくりだったのです。

そのマジシャンは人の心理を操る天才です。

実はクリエーターと待ち合わせをした場所から、車の外から見えた景色、会議室で目に入るものまで全部、そのマジシャンが思い描く広告デザインを、クリエーターたちが作るように仕掛けられたものでした。

広告のヒントとなるようなものが、クリエーターたちの目に無意識に入るようになっていたのです。

彼らはプロの広告クリエーターで、広告で私たちの無意識に働きかける仕事をしている人たちです。

広告の全てを熟知している人たちでさえも、このマジックの罠にかかってしまいました。

このマジックをみて、私はゾッとしました。

私の無意識もコントロールされているのかもしれない。

テレビコマーシャルでピザのCMをみたらピザが食べたくなったり、髪のきれいな女優さんが出ているCMのシャンプーを使いたくなったり、スーパーでつい手に取った商品が、実は何気なく見ていたCMのものだったなんてこともありますよね。

どうして映画館でポップコーンが食べたくなるのか、どうして銭湯でコーヒー牛乳が飲みたくなるのか、どうして痩せているのにダイエットをするのか、、、

私たちがとる行動は、操作された情報によって理由付けされているのかもしれない。

必要な情報をコントロールできない

テレビ以外にも情報に触れる機会はたくさんありますが、テレビから流れる情報量の比にはなりません。

テレビの影響力は大きく、気づかないだけで多くの影響を受けています。

そしてそれを裏付ける事実として、テレビがなくなり見なくなったことで物欲が減ったのです。

これは刺激が減ったからだと自分では確信しています。

今どんな便利グッズが売られているのか、どんな新しいレストランがオープンしたのか、セールはいつなのか、何が流行っているのかなど、知ろうとしない限り私には情報が入ってきません。

商品の必要性には関係なく、その商品やサービスがあった方がよりよい暮らしができる、便利である、という刺激をもらい、それが欲しくなることありませんか?

必要ないのにセールというだけで買ったほうが得だと思うこと、まだ気に入っているのに、流行が廃った洋服が着れなくなること、クーポン券をもらってその商品が気になり始めることありませんか?

自分が本当に求めている暮らし、必要なもの、そんなことを考える暇は与えられず、毎日新しい情報にさらされ、物欲を刺激されていたなと思います。

情報をコントロールすることで、感情をコントロールできるようになったと自分では思います。

情報刺激が減り、物欲が減り、自分の求めている生活に必要なものが明確になりました。

感情的、衝動的に物を買う事もなく、無駄遣いがなくなりました。

ウルグアイ第40代大統領、ホセ・ムヒカ氏の言葉で、

人は物を買うときは、お金で買っていないのです。そのお金を貯めるための人生を割いた時間で買っているのですよ

というものがあります。とても大切にしている言葉です。人生の時間を無駄にしたくないのです。

周りからの刺激に反応的にならず、自分の心の声を聞いてみて下さい。

大切なことは、自分が何を知りたくて、何を必要としているかを「見極める力」だと思います。

あなたが人生で本当に必要なもの、それは何ですか?

本気で知りたいことは何ですか?

テレビにさようなら。

では、また!