アメリカ永住権(グリーンカード)保持者で、日本長期滞在に限らず、アメリカ国外に長期滞在する必要があるときはどうしたら良いのでしょうか?

「アメリカ永住権(グリーンカード)」は「アメリカ市民権」とは違うので、それを維持するための条件がいろいろと細かくあります。

【注意】2019年10月にUSCISがグリーンカード保持者に対するルールを改訂しました。それに伴い、この記事の内容が適応しない場合があります。

グリーンカードでアメリカを離れる際または検討される前に、USCISのウェブサイトをチェックされることを強くおすすめします。

6ヵ月未満

永住権保持者が「6ヵ月未満」のアメリカ国外滞在をする場合は、アメリカに戻る際グリーンカードを再入国許可証として使うことができるので、基本的には事前に何かを申請する必要はありません。

しかし、グリーンカードはアメリカ入国を保証するものではないので、6ヵ月未満であっても入国審査官の審査に通る必要があります。永住する意思があるのかな?と入国審査官に疑われてしまうと、入国を拒否されることもあり得ます。

その際は、アメリカに永住する意思を持っていることを証明できなければなりません。「6ヵ月以上1年未満」のアメリカ国外滞在のケースと合わせて、疑われた時にはどんな書類が必要か読んでみて下さいね。

では、6ヵ月以上国外に長期滞在する場合の「アメリカ永住権の維持の方法」を期間別に見ていきましょう!

アメリカに再入国する際に、永住の意思を放棄していないことを証明する書類が必要になります。

1年未満であれば「再入国許可証(Re-entry permit)」を申請する必要はないと良く聞きますが、調べたところアメリカ国外の滞在が「1年未満であっても6ヵ月を超えている」と、入国審査官からアメリカ永住の意思を細かく確認されるとのことです。

そのため、再度アメリカに入国する際、永住の意思を証明するための書類が必要です。ちなみに、永住の意思を証明するのに決まった書類というのはないそうです。

「アメリカに永住する意思を持っている」ことを証明できる書類例

  • 雇用証明書
  • 納税証明書
  • 物件権利書
  • クレジットカード
  • 運転免許証
  • 銀行取引記録

あとは、以下の事実の存在を証明できる書類

  • アメリカに家族がいること
  • アメリカに郵便物の送付先があること
  • アメリカに銀行口座を維持していること
  • アメリカで事業を運営していること
  • 外国滞在が限定的かつ一時的であったこと

これらの書類によってアメリカ不在中も、生活基盤はアメリカにあり、アメリカとの十分な関係を維持していました!という事実を、入国審査官にアピールできます。

お金はかかってきますが、1年未満であっても「再入国許可証(Re-entry permit)」を念のため取得する人もいるみたいです。次の項でこの許可証については詳しく説明します。

この場合はアメリカを離れる前に、アメリカに戻る意思を移民局に事前に伝えておくための「再入国許可証(Re-entry Permit)」というものを申請しなければなりません。

再入国許可証とは?

「アメリカを離れる永住権保持者が、永住権放棄を意図していないことを証明するための証」です。
通常、永住権保持者が継続して1年以上アメリカを離れると、永住の意志がないとみなされ永住権を剥奪されてしまいます。しかし、永住権保持者がアメリカ国外に長期滞在した場合でも、この許可証を持っていればアメリカに再度戻った際、アメリカ不在期間のみを理由として「永住権を放棄した」とされ、入国を拒否されることがありません。
しかし言い換えれば、アメリカ不在期間以外の理由により「永住権を放棄した」と疑われる場合があるので、再入国許可証はアメリカ再入国を保証するものではないという事を覚えておいた方がいいと思います。

ちなみに再入国許可証は発行から2年間有効です。この2年間の間はアメリカへの出入国も自由にできます。

この許可証を取得してアメリカを離れている間に、予定が変わり2年以上の期間が必要になったとしたら、もう1度申請して、また2年間有効の再入国許可証を取得することができます。

気をつけなければならないのは、何度でも申請して許可が下りるわけではないという事です。2度までは、かなりの確率で大丈夫だそうですが、3度目の申請では、申請者の状況によって許可が下りるかどうか変わるとのことです。

アメリカに会社があるとか、資産があるといったことを考慮されるそうです。許可が下りても1年間のみ有効のものだと聞いたこともあります。

あとは、「アメリカで申請しなければないない」ということ。持っている再入国許可証の期限が切れる前に、アメリカに戻って新しいものを申請しなければなりません。しかも指紋採取をアメリカで受ける必要があります。

申請からだいたい2~3週間くらいで指紋採取のスケジュールが送られてくると、www.visajourney.comを見たら書いてありました。この「Visa Journey」はアメリカのイミグレーションについて、世界各国の人が語れるコミュニティで、情報量が多くおすすめですよ。期間については皆ケースが異なるので、はっきりとしたことが言えずすみません。

さまざまな事情で、指紋採取まで待てない方もいらっしゃるかと思いますが、指紋採取まではなんとかアメリカに居てもらわないといけません。日程は変えられるので、何らかの事情で一時アメリカ国外へ出ても、また指紋採取のためアメリカに戻る必要があります。

指紋採取を無視すると、再入国許可証の申請を放棄したとみなされてしまうので、くれぐれも気をつけて下さい。

再入国許可証を受け取る時は、アメリカ国外に居ても大丈夫です。許可証を申請する際に使う「Form I-131」に、許可証の受け取り場所をリクエストできる項目があります。日本にある、アメリカ大使館かアメリカ領事館、または国土安全保障局で受け取れます。

この場合は、アメリカを離れる前に再入国許可証を取得し、2年が経過する前にアメリカに戻り、もう1度再入国許可証を申請できることを上記で説明しました。アメリカ国外滞在が4年以下であればこの方法が可能です。

しかし、アメリカ不在期間以外の理由により「永住権を放棄した」と疑われる場合があることを説明しました。詳しくは「1年以上2年未満」を読んでみて下さい。

この場合は、アメリカを離れる前に市民権の取得をするのが安全かと思います。「1年以上2年未満」で説明した「再入国許可証」の申請は、3度目からかなり厳しくなるという現状があるからです。

4年以上アメリカ国外に滞在することが分かっているのであれば、アメリカを「出る前に」市民権を取得するのが理想です。

例えば4年以上になるかは分からないけれど、3年以上にはなるからと、アメリカを出る前に再入国許可証を取得していたとします。そして有効期限の2年が経つ前にアメリカに戻り、2度目の再入国許可書を取得します。

しかし4年を越えると分かった時点で、3度目の再入国許可証の取得は難しいと聞いたから、やっぱり市民権にしよう!とアメリカ市民権を申請することはできません。

市民権の申請の条件に、「過去5年間に連続して180日以上国外に出ていないこと」というものがあるからです。さらに「5年のうち半分以上はアメリカにいること」という条件もあります。

なので、3年以上ではあるが、4年以内なのか4年以上になるのかが曖昧な場合、以下の3つの対策を覚えておくのはいかがでしょうか!

  • アメリカを離れる前に市民権を取る
  • いざとなったら弁護士を雇い3度目の再入国許可証を申請する
  • いざとなったら永住権は放棄し、またアメリカに戻るときに永住権を再申請する
    (※このケースでは、ご自身が再申請の条件をクリアできるのかどうか、事前に細かく調べておいて下さいね!)

アメリカ永住権(グリーンカード)を保持したままアメリカを長く離れることは、アメリカ永住権(グリーンカード)が無効になるかもしれないというリスクがある、ということを覚えておいて下さい。

いざという時には、時間、労力とコストがかかってくることを理解した上で、自分がどうするべきか決めて下さい。

ではまた!