アメリカには、留学生がアメリカ大学の3年次に編入学できる制度というものがあります。

短期大学や専門学校などの卒業者が、大学2年分の単位を持ってアメリカ大学の3年次に編入することができます。

編入できる年次や認定される単位数などは、各大学によって異なります。私の場合、日本の専門学校で大学2年分に相当する単位をとり、アメリカ大学の3年次に編入しました。

そこで気がついた「メリット」と「デメリット」。私の個人的な経験を基にした意見にはなりますが、留学を考えている方の参考になればうれしいです。

ちなみに、アメリカ大学の3年次に編入留学が決まるまで、どんな過程があり、どんな勉強をしてきたのか気になるかたは下の記事を参考にしてみて下さい。

アメリカ大学編入学の「メリット」

アメリカで残り2年分の単位をとれば、4年生大学を卒業できる

私にとって「編入学」で一番魅力的に思えたのは、「アメリカ滞在の短さ」です。

高校生だった私にとって、4年間をアメリカで過ごすというのはとても長く感じました。しかしアメリカ大学3年次の編入学を利用すれば、2年分の単位は日本で取れる。

スムーズに行けば、たった2年のアメリカ滞在で「アメリカ4年制大学卒業」が出来ます。

アメリカに行きアパート暮らしともなれば、勉強以外にもやらなければならない事がたくさん出てきます。ホストファミリーにお世話になれば費用もかかってきます。

大学勉強のウォーミングアップとして、日本の環境のままアメリカ大学の単位を取れるというのは、かなり有難かったです。

それと私の場合は専門学校で大学2年分の単位を取ったので、2年分の過程が終了した後に専門学校を卒業した「専門士」という資格も獲得しました。

専門士称号を受けると大学3年次への編入学が認められるようになります。

また、短大卒・大学2年次修了などが条件とされていた国家資格の受験資格が認められるようになります。

アメリカ大学卒業後、思わぬ形でこの「専門士称号」が役に立った事実はまたお話しますが、これは取って置いて損はないと思います。

編入後すぐに「専門分野」を学べる

アメリカ4年生大学では、最初の2年間で一般教養の過程を学びます。

そして3年次から、ビジネスや心理学といった自分が専門的に学びたい「専攻(mejor)」というものを選び学び始めます。

一般教養はどの学校に行っても同じ内容。日本で学んでもアメリカで学んでも、変わりはありません。

日本で2年分の単位を取るということは、「一般教養」の過程を日本で学び、アメリカでは自分が専門的に学びたい分野を編入後すぐに学び始められるという事になります。

自分が学びたい専門分野に力を入れているアメリカ大学を選べますし、アメリカの大学だからこそ学べることを編入後すぐに学び始められます。

時間的にも効率がよく、専門分野だけをアメリカで学びたい人にとっては最高の条件ではないかと思います。

英語レベルの飛躍的な向上

大学の講義で使われる英語は、個人が選んだ専攻によりさまざまですが今まで聞き慣れていた英語とは全く異なってきます。

日本語でも聞いたことのないような単語や、辞書で調べても理解に苦しむ英単語がたくさん。英和辞書があまり役に立たない、なんてことも起こります。

しかし編入学を利用すれば、日本で十分に基礎を習得した後に、アメリカでネイティブ英語の環境に入っていけます。

今まで新しい英単語を辞書で引き、その意味を「日本語で覚える」という作業をしていたのであれば、アメリカでは「英語を英語で覚える」ということをしなければならなくなります。

これは英英辞書を使うという意味ではありません。

例えばプログラミングの世界で「variable」と聞けば、扱われるデータを一定期間記憶するための収納箱のようなものを思い浮かべます。

しかし英和辞書で「variable」は「変わりやすいもの」「変数」という意味で載っています。

「variable」を辞書の意味のまま覚えても、プログラミングの世界でそれが一体何なのか、どんな役割をするのかということは分かりません。

「variable」の意味ではなく、自分が学んでいる専門分野では「どういう意味で使われるのか」「どんな役割をするものなのか」ということを「英語のまま」覚えていくことになると思います。

専門分野を英語で学ぶのは難しいですが、基礎がしっかりしていれば新たなチャレンジとしてわくわくするでしょう。

英語力を飛躍的に向上させたい人にとっては最高の機会になると思います。

英語の環境はそのままなのでギャップが小さい

日本でも英語で講義を受けてきた場合、アメリカ大学での英語環境にギャップを感じず、アメリカでの生活や文化などに慣れることに集中できます。

新しいアメリカという土地では、日本で「あたりまえ」と思ってやってきた事がそうではないという事実にたくさん気づかされることになると思います。

英語にも慣れていないのにアメリカの文化や習慣など、アメリカでの「あたりまえ」に慣れていくのはとても大変です。

アメリカで自分のバックグラウンドや日本人としての感覚などを理解してもらおうと考えるのは難しいです。

その土地にいる自分自身を順応させて行くことになると思います。今までの「あたりまえ」に新しい概念を加えて慣れていくというのは大変な作業です。

でも、英語が話せてコミュニケーションも取れるという安心感はかなり大きなサポートになります。

アメリカの「あたりまえ」についてもっと詳しく知りたい方は「しない?できない?アメリカ人から学ぶ自己主張」がおすすめです。

アメリカ大学編入学の「デメリット」

私の場合、英語力が乏しかったせいで「メリット」になるはずのものが「デメリット」に変化する事態が起きました。

この私の失敗例から何か学んでいただけたら幸いです。

編入後すぐに「専門分野」を学ぶのがきつい

日本から編入する場合、今まではさまざまな分野の教養を広く浅く学んでいたのに対し、アメリカ大学に編入した途端に専門分野にフォーカス。職業的又は専門的な知識を深く学んでいくことになります。

専攻の授業内容は難しいことに加え、それに対する「Prerequirement(事前必修科目)」と言うものがあります。

次の学期で「A」という授業を受けるために、「B」という授業を今学期にクリアしていることが必修ということです。

前学期でPrerequirementの「B」クラスを落としてしまうと、次学期で「A」クラスは取れず、また「B」を取り直さねばならないので卒業が延びてしまうケースがあります。

単位を落とせば授業料は無駄になり、卒業が延びれば生活費などの資金が余計にかかってしまいます。それは心地の悪いプレッシャーになり、焦りにも繋がりました。

アメリカ大学での「生徒参加型」の授業についていけない

日本でアメリカ大学2年分の単位を取得した場合、『英語の「聞き流し」を続けたら英語は話せるようになる!?』でお伝えした様に、クラスの生徒の母国語は日本語で、みな日本の文化や習慣を共有しています。

何の疑問もなく授業を静かに真剣に聞くという、どちらかと言えば「受け身」なスタイルで授業に臨みます。

しかしアメリカの大学の授業では、生徒はみな積極的です。講義は、教授と生徒のやり取りを中心に進んでいきます。

教授が説明をしていると、質問のある生徒は手を挙げ始めます。先生は「これをどう思いますか?」「これはどういうことか説明できる人はいますか?」と、生徒が授業に参加できるよう沢山なげかけをします。

モジモジしているのは私くらいで、クラスメイトは積極的に手を挙げ自己アピールをしていきます。

ただ静かに真剣に授業を聞いていたら、「やる気がない」と思われてしまいそうな雰囲気さえあります。

専攻では、同じ教授がいくつもの異なった講義を受け持っていたりするので、また同じ教授から違う講義を受けることがあります。

良いイメージを持ってもらわないと、後にとてもやりづらくなってしまいます。

アメリカで「あたりまえ」とされている事が自分にはそうでない。でもそれを分かってくれる人はいない。

周りに合わせなければ「やる気がない」又は「理解していない」と誤解されてしまうかもしれない。講義についていくだけで精一杯なのに、頭がパンクしそうになりました。

ネイティブの英語のスピードについていけない

日本の専門学校でも、全ての授業を英語で受けていました。

しかし専門学校やアメリカの語学学校にいた先生方は、どれほど優しい英語を使い話してくれていたのかと、アエリカで講義を受け始め気づかされました。

私の周りのネイティブはみな早口なのかな?と思いたくなるほど、ネイティブの英語は私にはものすごいスピードで聞こえていました。

ネイティブでない私にとっては、聞きやすい英語と聞きにくい英語とあり、聞きにくい英語を話す教授のクラスでは分からなすぎて、集中力が途切れ途切れになりました。

教授が「ここは重要だから!」と言って話し始めた内容が聞き取れない、なんてことは毎日起きました。

板書をほとんどしない教授ばかりだったので、英語が聞き取れても綴りが分からないなんてことも毎日です。

大学レベルの英語力がないまま留学してしまった私は、なんだか場違いな気がしてしまい、講義を受けにいくのは毎回とても憂鬱でした。

ネイティブの英語のスピードについていけない

留学生が慣れなければならないのは、英語やアメリカ大学生活だけではありません。

アメリカは文化も習慣も違う異国です。

1年生としてアメリカ大学に入学していれば、専門分野より比較的易しい一般教養を学びつつ、アメリカでの生活や大学のシステムに慣れることができるのかもしれません。

しかし編入学となれば、アメリカという新しい土地、アメリカの大学、言語、文化や習慣、食事など全てが一気に降りかかってきます。

難題の山にホームシックが加わり、毎朝モチベーションをなんとかあげて大学に行くのが大変でした。

「しない?できない?アメリカ人から学ぶ自己主張」に、今まで「あたりまえ」だと思っていたことがアメリカではそうでなくなるというカルチャーショクについて書きました。

アメリカでの「あたりまえ」を知って、それを身に付けていく作業は思っていたより遥かに大変でした。

同じ敷地内の語学学校に通っていたにもかかわらず、大学は全く違う場所に見えました。

今日は講義を受けに行きたくないなんてことは語学学校では起きませんでしたが、大学ではほぼ毎日憂鬱でした。

編入学はおすすめか?

アメリカ大学へ編入留学することに関しては、留学しようとしている本人が置かれた状況により、人それぞれ異なった「メリット」と「デメリット」が考えられると思います。

チャレンジには色々な試練が付きもの。良いことも、そうでないことも起きます。

しかしそれらを乗り越えようとする過程で、必ず大きく成長します。

やってみたいと思う気持ちがあるのであれば絶対に挑戦するべきだと、十分な英語力がないまま留学し散々な経験をした私でもそう思います。

「人生最高の経験」の1つであるアメリカ留学の影響で、その後の人生は大きく変わりました。

ただアメリカ大学留学と言っても色々な方法や過程があるので、自分に合ったものを選ぶということは大切だと思います。

それと私のように、英語の基礎が十分でないのにアメリカ大学に飛び込むと、とても痛い目に合います。「留学中にアメリカ大学でうけた差別」も、私の乏しい英語力が大きく関わってきています。

こんな風になる方はなかなかいないと思いますが、「英語でのコミュニケーション力」というサポートをしっかり固めてから行くとさらに良かったと思います。

大学留学というチャレンジ後に感じられる「達成感」からは、想像を遥かに超える自信を得ることが出来ますよ。

アメリカ留学に挑戦する意義

アメリカ留学を考える理由は、みなさんそれぞれだと思います。私は高校三年生のときに、留学することを決めました。どんな風に、どんな目標を持って決意したのか。気になる方は下の記事のリンクへ!

最後まで読んで頂きありがとうございました。みなさんの成功を応援しています!