自己主張ができる日本人がいるように、自己主張が苦手なアメリカ人もいます。

でも大多数のアメリカ人は、日本人と比べると自己主張が上手です。

私はアメリカ在住日本人ですが、「自己主張」と呼ばれるものひどく苦手でしたし、今もまだ克服中なのです。

私は、「あえて自己主張しない」というタイプで、それは協調性だと信じていました。

相手の意見を尊重できる、事がうまく進むように人に合わせられる、そんな風にそのタイプを良いように分析していました。

ただ、裏を返せば、自分の意見を言うことが不得意だったのです。

特に「どうしてそう思うのか」という質問をされると、これといった理由がみつからず、つい「なんとなく」と言ってみたり…

誰かと違う意見だったら嫌だなぁなんて思い言えなくなります。

これだと、「あえて自己主張しない」ではなく、自己主張が必要な状況に置かれたとしても「できない」という事になっちゃいますよね。

まさにその通りだったんです。

「主張」という言葉に、すごく強く頑固なイメージがありました。

自己主張することで、自分だけ浮いちゃうんじゃないか。

相手に不快な思いをさせるのではないか。

関係が気まずくなるのではないかと、モジモジしてしまいがちでした。

販売員の同僚にガツンと主張されると、それが正しいように聞こえてきて、自分の意見がぼやけてしまったり…

反論されるのが恐ろしいから黙っていようと、良くそうなっていたのです。

そうは言っても、アメリカ販売員の私の職場は弱肉強食。詳しくは「アメリカ販売員の昼ドラみたいな職場トラブル」を読んでみて下さい。

そう、苦手とか言っている場合ではないんです!

一番最初の自己主張のチャンスは、同僚が私の順番を飛ばして、お客さんを接客してしまったときに訪れました。

悪気があって飛ばしたわけではなくても、言わないと後でなんとなくモヤモヤするのです。

「今の私の番だと思ったんだけど、、、」と、弱々しく言ったんじゃないかと思います。

なぜそう思うかを説明すると、わりとあっさり「間違えたわ!」と返事がきました。

私の接客したお客さんが購入後、「あれは私の番だったわ!」と言う同僚にも、なぜ私がそのお客さんを接客したのか伝えました。

「あっ、そうだったんだ」という、あっさりとした返事が来ました。

自分の意見を主張して、相手を批判するような強いイメージのあった「自己主張」ですが、少しずつ自分なりの「自己主張」というものをしてみるうちに、イメージが変わっていきました。

「自分の気持ちや考えを伝えること」

「自己主張」って、「自分の気持ちや考えを伝えること」なのですよね。

知ってはいながら、間違った協調性のイメージばかりが膨らんで、忘れてしまっていたのかもしれません。

誤解されたまま聞かれないのも嫌ですし、相手が主張してくれることで、自分の意見も言えるので、お互いにスッキリします。

それは、「お互い」に伝え合うコミュニケーションがあるからこそ成り立っているのだと思います。

コミュニケーションとは「伝え合うこと」

「何も言わないことが良いこと」とされる文化はアメリカにはありません。

コミュニケーションとは「伝え合うこと」なんだなと、アメリカに住んでつくづく感じます。

アメリカ人全般を指して、彼らは直接的なものの言い方をする、なんていうイメージを持つ人もいるかと思います。

しかし「直接的」というよりも、「正直」で「オープン」なんだなというのが私の感想です。

日本人と同じで、「使う言葉・言い方」や「相手の気持ち」をアメリカ人も気にします。

ただ「言わなきゃ伝わらない」という考えがあるので、言いづらい内容でも自分の感じたことを、言葉を選んで伝える傾向があります。

個人が「感じたこと」に対して、「それ間違っているよ」と批判することはできないので怖がる必要はないのです。

それに誰かを傷つけようと思って、コミュニケーションを図ってくる人は私の周りにはいません。

正直に伝えた結果、相手を傷つけてしまうこともあると思います。

そんな時は「ごめんね」と伝えられれば、後になってグチグチ言ったり、モヤモヤしたりという事にはなりにくいのです。

頭の中や心にある感情を、フィルターを通さず正直に話す人が多いのです。

それゆえ、「気にしてないよ」「大丈夫だよ」と言っておいて、本当は怒っているなんて難しいことも起こりません。

私にとってこのコミュニケーション方法はとっても新しいものでしたが、慣れるとすごく楽で好きになりました。

相手も正直に気持ちを話してくれるから、私も話せるということなんですね。

自己主張は「お互いに」という気持ちが大事!しかし!

「アメリカ販売員の昼ドラみたいな職場トラブル」に登場した「最強の同僚」が、あからさまに変な子芝居をしてきたときは、間違っていることをしている人を正したいという気持ちになってしまいました。

ですが、「自己主張」をする際にそういう気持ちがあると、お互いの意見のぶつかり合いになって、自分の意見を飲み込んでくれない相手にストレスを感じてしまうこともあると思うのです。

悪気があるのかそうではないのか判断が難しい場合もあるので、「それ間違っている」と言える場面は、本当に少ないと思います。

それに決め付けられた言い方をされると、相手は防御的になりやすいのかもしれません。

こんな場面では、相手の意見を先に聞きだすような質問をするようにしています。

そしてその後、私の意見も聞いてもらう。

「互いの意見をシェアする」

相手を説得させようなんて気持ちで言わず、言いたいことがあるのはお互いさま、じゃあシェアしようよ!と言う感じです。

実は最近、月末で個人目標達成のため売り上げが必要だったほかの同僚が、私の売り上げを自分のものにしてしまった事がありました。

次の日に事情を説明され、どう思うかと聞かれました。

言いたいことは色々ありましたが、「あなたがしている事は正しいことだと思う?」と聞いてみました。

すると彼女は「ただ数字が必要なの。あの売り上げで発生する歩合の報酬はあなたに渡すわ」と言われました。

これは明らかなルール違反なのですが、同僚を助けたいという思いと、ルール違反は良くないという思いがごちゃごちゃして言葉に詰まっていると、「申し訳ないとは思うわ」と同僚に言われました。

「なぜそう思うの?」と聞くと、今度は同僚が言葉につまっている様子。

自分の複雑な気持ちを伝え「あなたが正しいと思うことをしてほしい」と言いました。

すると、次の日、その売り上げが私に戻っていました。

なんとなく、自分なりの自己主張が身についてきているのでは!?と思える、嬉しい出来事となりました。

自分だけの一方的な思いばかりを相手に伝えるのは申し訳ないですし、正直な思いを言葉にするというのは、場面によっては勇気がいることもあります。

「説得」ではなく「お互いの意見を交換し合う」

そして「自分の意見を伝える」というイメージを頭に置いておくことで「自己主張」は格段にしやすくなりました。

「察する」だけではなく「伝え合う」

この新しいコミュニケーション方法に完全に慣れるまでには、思っていたより時間がかかるものですね。

「言わない」事が癖のようになっているみたいです。

今回はあくまで私個人が、私の職場で学んだ「自己主張」又は「コミュニケーションの方法」について紹介させていただきました。

焦らずマイペースに楽しみながら、新しいコミュニケーションに慣れていこうと思います!